季節特集で今回取り上げるコート・ジャケットは、寒さから身を守ってくれる以下のアウターの名品たち。いずれも気候や風土を礎に歴史の中で磨き続けられてきた本物のアウターたちです。
 そのぬくもりの中には、きっと身体の内なる温かさも感じとることができるでしょう。


目 次
1 MACKINTOSH(マッキントッシュ)のステンカラーコート
2 Aquascutum(アクアスキュータム)のトレンチコート
3 CANADA GOOSE(カナダグース)のダウンジャケット
4 Barbour(バブアー)のジャケット


1 MACKINTOSH(マッキントッシュ)のステンカラーコート
 ファッションとクラフトマンシップはあまり関係がないと思われる方もいるのではないでしょうか。ただ、マッキントッシュのゴム引きステンカラーコートは、クラフトマンシップにこそその真髄があります。イギリスでマッキントッシュと言えば、レインコートと同義に捉えられ、ファッション用語では、ゴム引き防水コート又はその素材がマッキントッシュと呼ばれます。それほどマッキントッシュとゴム引き防水コートは切り離せないものなのです。そして、ロンドンの年間を通して少雨がよく降る風土と文化の中で鍛えられた防水コートはロンドン人の必須アイテムです。1823年にチャールズ マッキントッシュが発明した世界初の防水布、マッキントッシュクロス。この生地をコートに仕立て、縫製した縫い目の全ての裏側にテープを貼る作業は、今もなお発祥の地グラスゴー(スコットランド)で技術を伝承された職人によって続けられています。このマッキントッシュのゴム引きコートは雨の多い日本の風土にもよく合います。中でも女性にお薦めは、LR-020D、体のラインが美しく見えるモデルです。 男性へのお薦めは、ダンケルド。ブランドを代表するシリーズで、無駄をなくした少し細身のモデルになります。
 MACKINTOSH LONDON(公式オンラインストア)

 ※4つのマッキントッシュブランド 
 MACKINTOSH ― 本家ブランド、LR-020Dはこちらのブランド 
 MACKINTOSH LONDON ― 往年のモデル(クラシック)を扱うブランド  
 MACKINTOSH PHILOSOPHY ― MACKINTOSHモデルの安価モデルを扱うブランド  
 Traditional Weatherwear ― カジュアルラインのブランド 

2 Aquascutum(アクアスキュータム)のトレンチコート
 アクアスキュータムは、イギリスロンドンの中心地リージェント通り106番地に旗艦店を構える高級被服老舗店です。ブランド名の由来はラテン語で「水」を表すaquaと「盾」を表すscutumの2語を組み合わせた「防水」を意味しています。ロンドンは、1年を通して雨がよく降ります。とは言っても土砂降りとなることは少なく、しばらくすると止んでしまいます。「少しの雨なら傘をささずに濡れて行こう」、ここに住む人たちがこう思うのはこのような気候によるものです。ロンドンで傘をささずに雨の中を歩くためには防水のコートは欠かせません。アクアスキュータムの高品質防水コートは、気候と風土、そして、そこから必然的に生まれたファッションとして生き続けてきました。数あるトレンチコートの中でも、アクアスキュータムのトレンチコートは、往年のミリタリーディテールや雨を弾く強力なキャバジン(発明はバーバリー)、傷みやすい部分には補修しやすい工夫がされているなど本物のトレンチです。
 Aquascutum(公式オンラインストア)

3 CANADA GOOSE(カナダグース)のダウンジャケット
 カナダは、北アメリカ大陸の北半分に位置し、西海岸の地域を除き冬季は氷点下になります。その中でも、カナダ中央部は、シベリアに匹敵します。その極寒の寒さに耐える衣服の機能性及び耐久性などの品質は、そこに暮らす人々にとっては生命線です。カナダの人々が着用するジャケットに「メイド・イン・カナダ」を、また製造者自らも「メイド・イン・カナダ」にこだわる理由がここにあります。CANADA GOOSE は、1957年、カナダ北東部の都市トロントの小さな倉庫から誕生しました。約60年続く「メイド・イン・カナダ」の高度で精密な裁断・縫製技術は何十年もの知恵と体験によって磨かれてきたもので、すべてのジャケットは、13の製造工程と60人の職人が関わる手仕事によって製作されます。カナダの極寒地で働く労働者、多くの探検家やアルピニストの身を守る防寒ウェアとして愛用されるCANADA GOOSEのダウンジャケット。男性へのお薦めは、「ジャスパー」、女性へのお薦めは、「シャーロット」ですが、着丈の長い「マッケンジー」、短めの「ラブラドール」など良く着るシーンに合わせることもできます。
 CANADA GOOSE(日本公式サイト)

4 Barbour(バブアー)のジャケット
 パッと見冴えず、場所によってはマナーを考える必要ありのジャケット。ただ、このジャケットは男性にとっては、持っていると一目置かれるジャケットです。もっとも、そこのところは要注意でウンチクだけで着るとこのジャケットの本質が失われてしまいます。確かにバブアーのジャケットは、英国のフィールド&カントリーウェアーとして愛用され続け、1974年にエジンバラ公、1982年にエリザベス女王、1987年にはチャールズ皇太子の命を受け、英国王室御用達(ロイヤルワラント)の栄誉を授かり、3つあるロイヤル・ワラントのすべてを保持している希少な存在です。しかし、それらは、北海の不順な天候、イギリスの雨の多い風土とともに歩んできた国民のその時々の歴史の中で、時には、水夫や漁師、港湾労働者のための、また、時には第一次、第二次世界大戦中には兵士のための防水服として、また、時には、風雨にさらされる6デイズ トライアルサーキットのライダーズジャケットとして、イギリスの歴史の中で逞しく生きてきた人々が着用した作業着、軍服、防護服なのです。 
 ファッションとして着るのはもちろん良いですが、実用着、イギリス国民のスピリット又はカントリージェントルマンの精神性を纏って着るというのがこのジャケットです。 女性のマニッシュな着こなしにも良いです。
 Barbour(公式オンラインストア)